今月のアラビア語「あけましておめでとう」

2014-01-01

 

「あけましておめでとう」の表現

 

新年を祝うような機会の挨拶としては、

「クッル・サナ、ワ、イントゥム ビ・ヘイル」( كل سنة و أنتم بخير )

ないしは、

「クッル・アーム、ワ、イントゥム ビ・ヘイル」( كل عام وأنيم بخير )

が、丁寧かつ確かな表現です。

 

「クッル・サナ」(ないしは、クッル・アーム)は、「Whole year」を示し、「イントゥム ビ・ヘイル」は、「You are well」とか、「you are in good condition」を意味します。

常日頃の会話経験から、「イントゥム」ではなく、「インタ」じゃないか、と、感じられる方もおられるかもしれません。しかし、「インタ」は、男性(単数)に呼びかける場合の表現であり、「イントゥム」は、二人称のYouを、単数形「インタ」から「複数形」にした表現。呼びかける相手を複数形とすれば、アラビア語では、相手への尊敬が織り込まれます。従い、「あけましておめでとう」の場合は、複数形とすることが妥当ですし、相手が複数であっても、女性相手であっても使えるので、便利です。

ただ、子供や家族を相手にする場合は、単純に、「インタ」か「インティ」とするほうが良いでしょう。

なお、「イントゥム」、「インタ」、「インティ」というニ人称代名詞最初の「イ」は、本来は「ア」と発音される音ですが地域によって「イ」で発音されていますので、実際には、各地の音に合わせることになります。エジプトやレバントでは「イ」、GCCでは「ア」の方が大勢でしょう。

また、「ビ・ヘール」ではなく、「タイイブ」とすることも多いです。この場合、「イントゥム」、「インタ」、「インティ」という代名詞の人称に沿って「タイイビーン」(複数)、「タイイブ」(男性単数)、「タイイバ」(女性単数)に変える必要があります。

 

なお、イスラムを奉じる中東諸国どこでもが、西暦の正月を祝うわけでもない事実は承知しておく必要があります。イスラム暦の正月は「ムハッラム」月の初日です。その日は、休日ではありますが、特にお祝い事はありません。

 

イスラムの大祭と言えば、断食月(ラマダン)明けのイード・ル・フィトル、と、巡礼(ハッジ)のイード・ル・アドハーという2度の休暇があげられます。その際には、前述の表現も使われますが、「イード・ムバーラク」という表現が適切です。「アッラーからの恩寵」と訳される「バラカ」を授かるというような意味合いがあります。

「おめでとう、Conflatilation」と相手に祝福を示すにも、やはり「バラカ」に派生する「マブルーク」という一語が有効です。