イベント情報

講演会「人生100年時代、目の輝く人に」が開催されました

2023-11-08

井上肇先生

ようやく秋の気配となった10月19日、日本オマーンクラブ2023年度第3回目の講演会「人生100年時代、目の輝く人に」が東京広尾のオマーン大使館で60名もの参加者を迎えて開催されました。講師は聖路加国際病院で長年整形外科部長を務められ、現在も現役として診療を続けられている井上肇先生です。

開口一番、先生は「犬はなぜ尻尾を振るのですか」と参加者に質問を向けられ、全員が頭を捻っていると「尻尾は犬を振れないから」との答え。軽く会場を沸かせたところで本題に入られました。

時代は今や人生100年時代、人生の後半に「目の輝く人に」なるにはどうしたらいいのか?過去60年で寿命は20年伸びた。これまでの世代が経験してこなかった事態にどう対応していくか?というのが講演の趣旨でした。

 

昔から不老長寿は人類の夢でしたが、それが現実となると寿命の伸びもいい話ばかりではなく、伸びた20年のうち半分は介護のお世話になる。その理由の約半分が脳血管障害、認知症、運動器障害。井上先生は、そうした事態などをどう防ぐか、どんな人が認知症になりやすいのかなど、皆が知りたい事柄を具体的に提示しながら予防方法をデータ等を使いながらお話しになりました。

人生後半に目の輝く人になるにはどうしたらいいのか? 先生は三項目ほど挙げられましたが、中でも老化を容認することや新たな知識や活動を求めることの重要性を強調されました。老化を容認することでストレスも消えて自律神経が安定して体調も良くなり、更に介護される身になった時には過去の自分を捨て屁理屈をこねない、介護者や介護施設に過度の期待を寄せないなど、意識改革を元気な内に行う必要があるとも説かれました。

60歳を過ぎたら10年先を見据えて医療と健康の基礎知識を身につけ、人の世話になる訓練、加齢の容認、好奇心を持って新しい発見に努め、習慣的な運動、価値観の変化についていくことが重要になるそうです。

そこで先生は「両手の会」を提唱されておられます。利き手とは別の手で字を書くことで脳を刺激し認知症予防が期待できることや、麻痺などで利き手が使えなくなっても別の手を使うことができるようになるなど、元気なうちに訓練を始め、自分自身の力でできる行為の範囲を維持し育成拡大していこうというご提案です。右の著書を出版されていて数冊ご寄付くださいました。くじ引きで幸運な会員が頂戴しました。

最後に先生は両手使いの医学 的効果について思弁的に立証されていないと仰っていましたが、卒寿を迎えられている先生ご自身がこのようにお元気であることが一番の証拠ではないかと思いました。

ユーモアたっぷりのとても貴重な講演をありがとうございました。

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ブサイディ大使夫妻を迎えて、恒例のサマーパーテイに82名が参加

2023-09-01

 

8月23日、夏の高校野球の決勝戦勝敗の熱いニュースが街中に流れる中、日本オマーンクラブの4年ぶりのサマーパーテイが広尾の聖心女子大学キャンパス内にあるレストラン「ラ・メンサ ジャスミン」で82名もの参加者を迎えて開催されました。

会場にはブサイディ駐日オマーン・スルタン国大使ご夫妻、アイシャ一等書記官、イーナス二等書記官、森元誠二元在オマーン日本国大使、同久枝譲治大使ご夫妻、オマーン人留学生などをはじめ、オマーンクラブの会員、家族、友人などが参加、特に最近会員になられた若い会員の姿も多く見られ、会場は満員の盛況でした。

6時より、会員の玉澤理恵さんの司会の下、ジョーンズ会長の挨拶とオマーン人参加者の紹介に続き、森元誠二氏の乾杯の音頭で会は始まりました。

 

食事の後には、この日のハイライトともいえる、落語のエンターテインメント。高座の登壇者は、スウエーデン人落語家、三遊亭好青年! 彼は中央大学在学中に落語に魅せられ、落語研究会に入会。2016年に三遊亭好楽に入門し、2020年に三遊亭好青年の名をもらいました。この日の出し物は、「鶴」と「みそまめ」。日本語と英語による落語を得意とする彼の大奮闘に大きな笑いと拍手が沸き上がりました。

恒例のクイズ大会には、参加者全員が挑戦。柴田理事の出題にAzizaさんのアラビア語の通訳も交えて、オマーンのラクダのこぶの数は?日本からの最大の輸出品は? オマーンの平均寿命は?など10問の質問が出され、賞品には、故塙元在オマーン日本国大使からの半月刀であるハンジャルをはじめオマーンゆかりの豪華賞品の数々が上位回答者に贈られました。

各テーブルでのにぎやかな歓談が続く中、最後に日本オマーンクラブの名誉会長遠藤晴男氏による中締めの挨拶と、新村事務局長の三本締めで会は閉会しました。

 

 

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講演会「銅鉱床探査とそれを通じて知ったオマーンという国」が開催されました

2023-07-24

7月1日、本年2回目の講演会「私が行った銅鉱床探査とそれを通じて知ったオマーンという国」がオンラインで開催されました。講師は地質の専門家であり、世界各地で鉱物資源の探査をされてきた柴田芳彰さんです。オマーンの銅鉱床がテーマとあり現地マスカットからも複数のご参加をいただき50数名が参加されました。

柴田芳彰氏

当クラブの理事であり三菱マテリアルテクノ㈱でご活躍になった柴田さんは、主としてJOGMEC/JICAの資源探査や鉱業関係プロジェクト(東南アジア、モンゴル、アルバニア、南米、中東)に関わられてきましたが、オマーンでは1980年~2001年の間、3回にわたるマンガン鉱床や銅鉱床の探査プロジェクトに深く関わられました。

ご講演では柴田さんが1990年代にオマーンで探査・発見された銅鉱床が最近になってオマーン企業により開発が開始されているとのニュースを交え、優れた電気導性等の銅の特性や合金としての需要など従来の重要性に加え、近年の自動車のE V化や車内の電装品など、ますます増加する銅の重要性を説明されました。そして地表からは見えない地下資源、特に銅の鉱床はどのように探査・発見するのかを中心に解説されました。

オマーン北部は紀元前3000年の昔からマガンと呼ばれており銅の産地として知られていたとか。

ソハールやヤンクルでは銅製錬の跡や製錬後にできるカラミ(slug)を今でも見ることができるそうです。

天然資源の豊富なオマーンの中でも銅資源はオマーン山脈沿いにその存在が知られており、その探査は地質調査に始まり、電気探査→電磁探査を経てボーリング掘削へと進行するとのこと。

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特に電気・電磁探査では電線を張ったり、穴を掘ってその穴に塩水を投入することが必要で、数十人の人夫を雇って、毎日炎天下作業を進めたそうです。

その間1ヶ所に約3ヶ月家を借りて滞在したそうですが、翌日すぐに作業に取り掛かれるよう準備し設置しておいた電線が夜間に盗まれたことや、コックとして雇ったインド人が前日までトラックの運転手だった人物で、「お前、料理もできるのか」と聞くと「できる、いろんな種類の料理ができる」との返事で、「どんな料理か」と聞くと「チキンカレー、ビーフカレー、〇〇カレー、✖️✖️カレー・・・」と3ヶ月毎日カレーだったこともあるそうです。人里離れた荒涼とした地域では、気候や慣習の違いのみならず、食事の点でもご当人しか分からないご苦労が多々おありだったことでしょう。それでも漆黒の闇の中で遭遇した満天の星空はとてつもなく美しく、言葉には表せない今までに感じたことのない不思議さと畏敬の念を抱かれたそうです。

最後に最近二酸化炭素の鉱物固定化として注目されているオマーンのオフィオライトに触れられました。オフィオライトとは『海洋プレートが大陸プレートに衝突して乗り上げた断片』でオマーンには世界で最も広く分布しているそうです。柴田さんはオフィオライトのスライドを見せながら「地質研究者にはよだれの出そうな場所なのです」と解説されました。

素人にはなかなか触れることのない分かりにくい資源探査や掘削など、専門的な内容をわかりやすくご説明いただき、オマーンの地質の特性を再認識させられたご講演でした。

「アイシャ夫人の料理教室」が開かれました

2023-05-20

 

2023年5月17日、東京広尾のオマーン大使館にて、日本オマーンクラブ主催『大使夫人によるアラブ料理教室』が開催されました。コロナウイルスの影響でこの4年ほど開催出来ませんでしたが、今回ようやく開催の運びとなりました。

          

お料理教室には総勢30名が参加しました。大使公邸5階にあるレセプションルームにて、オマーニコーヒーに舌鼓を打ちながら歓談し開始を待ちました。その後、大使夫人がいらっしゃり、ご挨拶がありました。続けて、夫人による映像を用いたオマーンの紹介が5分ほどあり、大使館スタッフの久保様の通訳も介しつつ、各地の遺跡や自然、スーク等の名所の他、オマーン人女性の着用する煌びやかなドレスなどの紹介がありました。中でも、オマーンの乳香の木は植樹が出来ないとのお話もあり、近年は増殖を目指しているとの事でした。

オマーン紹介の後、参加者はエプロンを着用し、レセプションルームの奥にあるお台所へ移動しました。今回の料理教室は、公邸料理人のヨセフさんと、大使夫人によるお料理の説明、材料の解説を聞きながら、質疑応答も交えての調理を見学する形でした。

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今回学んだオマーン料理は、

①オマーン風チキンカレー

②炊き込み御飯

③ババガヌース(見た目はフムスのようなもので、パンに付けて食べます)

④ルカイマット(丸く、ドーナツのような甘いデザート)

です。参加者は、レシピのメモを取りながら、お料理の方法を学びました。

見学後は、お待ちかねの昼食の時間。前述のお料理の他、サラダやオマーンから直輸入のジュースなどをいただきながら、歓談を楽しみました。

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また、食後のデザートの際には、大使夫人がオマーニ珈琲の作り方を実演しながら教えてくださいました。オマーニ珈琲にはカルダモン、サフラン、クローブなどが好みで加えられ、最後にローズウォーターを2〜3滴加えるそうです。

       

下に、※デザートのルカイマットの作り方を記載致しましたので、ご自宅でお試しになってはいかがでしょう。

デザートの時間も終えて一息付いた頃、なんと大使夫人がサプライズとして、オマーンの衣装を試着する機会をご用意くださいました。女性には数種類の美しいドレス、男性にはディスダーシャとクマ(オマーン男性お馴染みの白い洋服と帽子)が用意されました。

数に限りがあり、じゃんけんで勝ち残った7名の女性と希望した男性2名がそれぞれ試着しました。華やかなドレスとディスダーシャ姿で大いに盛り上がり、皆オマーン人になりきって写真撮影等を楽しみ>ました。

                               

今回のお料理教室はとても好評で、参加者は皆笑顔で帰途に着きました。

このような機会を設けていただき、大使夫人はじめ、オマーン大使館、並びに関係者の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。今後も、このような行事を通してオマーンと日本の関係がより一層深まることを願っております。

 

※デザート、ルカイマットの作り方

 材料:

  小麦粉(薄・中・強どれでも可)    1カップ

  酵母(イースト) 大さじ1/2

        バニラ      小さじ1

  砂糖       大さじ1

  粉ミルク     大さじ1

  菜種油(サラダ油)   大さじ1

  水        適宜

  • ボウルに粉ミルク、バニラ、小麦粉を入れるて混ぜる。
  • 次に酵母菌をお湯にいれ、軽く混ぜます。
  • 混ぜたら、小麦粉の入ったボウルに入れて手でゆっくり混ぜます。そして菜種油を入れ、叩くように勢いを付け、混ぜます。
  • これを終えたら、半カップの水を入れ、更にかき混ぜます。(ネバネバになる位を目安にします。水は入れすぎないことで、料理教室では100ccを使用しました)
  • 2時間~2時間半休ませておきます。発酵して大きく膨張しますから、大きめのボウルに入れ、置いておきましょう。
  • 出来上がったら、一口大の大きさに丸く捏ねます。
  • 丸い型を取る道具を用いてもよろしいですし、夫人は手で捏ねる形を取るのがお好きだそうです。
  • 形が出来たら、ゆっくりと回しながら油で揚げます。片面だけ色が変わってしまったりしますから、常に回しましょう。
  • 最後に、ドーナツにはシュガーシロップか、ローズ水、デーツシロップなどを入れて混ぜて出来上がりです。

講演会「久々のオマーンを訪ねて」が開催されました

2023-05-14

 

2023年度の総会に合わせ、第1回講演会が、広尾の駐日オマーン・スルタン国大使館で5月10日(水)にて開催されました。講師はオマーン・クラブの会員であり、元・駐オマーン日本大使の森元誠二様です。森元様は、東京大学教養学部で客員教授を務め、『知られざるオマーン』など、オマーンに関する著作も発表なさっています。故カブース国王には、4回面会した経験があり、特に王位継承に関しての質問に「心配していない」との応答があったことを印象深く覚えているというお話から、御講演が始まりました。

カブース国王への拝謁は、ときに1時間を越え、流暢な英語で中東情勢や統治への考え方を聞くことができたと言います。特に「アラブの春」が中東地域を席巻した頃には、王位継承について、「少し突っ込んだ質問を投げかけてみたんです」と森元様は話します。その時の応答が、先ほど挙げた「心配していない」とのものでした。継承ルールを定めていること、何より統治王族の合意のなかで適切な人物が決まるだろうという自信が垣間見えたそうです。

実際に、2020年1月に即位したハイサム国王のもとで、オマーンが政治的にも経済的にも安定し、日本との関係もさらに深まっている点が紹介されました。サイイド・バドル外務大臣やラフマ・マフルーキー高等教育大臣など、有能な人物を官僚に登用し、「オマーン・ビジョン2040」のもとで、行政機構や法律面での改革が進められています。また、オマーン経済が回復傾向を見せ、国際的な格付けも「安定的」へと引き上げられたことは、将来への明るい材料であると指摘されました。石油価格の変動を注視する必要はありますが、財政的な安定は、オマーンに進出する日本企業にとっても良い兆しになっていると言います。実際に、オマーンで操業する日本企業は増加し、今後も両国の経済関係は進展していくだろうとの見通しが語られました。

 

お話の後半では、この3月に教養学部長を団長とする東京大学の訪問団がオマーンを訪問した様子が紹介されました。スルタン・カブース大学やマスカト大学、GUtechなど、オマーンの各大学との協議に加えて、オマーンの最新の様子も写真で紹介され、聴衆の旅情をそそりました。特に森元様は「スルタン・カブース・グランドモスク」内の色彩感覚に触れ、改めて故カブース国王の才覚に言及する形でお話を終えました。

       

懇親会の場では、会員同士のオマーンへの思い入れやエピソードが朗らかに交わされ、久々の対面での交流をみな楽しんだ様子でした。

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