液化天然ガス (LNG) についての講演会が開催されました

2025-06-30

6月25日、日本オマーンクラブの講演会がオマーン大使館で開かれました。演題は「日本のエネルギー調達とオマーンの関与」。講師は長く世界各地で液化天然ガス(LNG)の開発と投資にたずさわってこられた会員の桑原徹郎さんです。梅雨模様の天候にもかかわらず約50名の方が出席されました。ジョーンズ会長のご挨拶後、司会の柴田理事により桑原氏と彼の略歴が紹介され講演会が始まりました。

冒頭にLNGとは何かという説明がありました。LNGは化石燃料でありながら不純物処理後は大気汚染等の問題が少なく、またその主成分であるメタンは毒性もなく爆発する危険性もガソリン等と比較して少なく、零下162度で液化して体積をへらすことで運搬や保管が容易で効率的にタンカーで運搬できるという利点のある、大きな役割を持つエネルギー源です。輸入したLNGは気化して火力発電用の燃料として、また私達が日常使用している都市ガス原料として送り出されています。

LNGは1970年代にアラスカで開発が始まり、現在では世界各地で開発が進められています。オマーンもLNGの中堅産ガス国で、特に現在の世界情勢を鑑みると、ホルムズ海峡の外側に位置しているオマーンは地政学的にも安定しており、指導者の全方位外交を持ってオマーンには優位性があると思われます。LNGの供給には20年という長期契約が通常なので、契約には政治的経済的安定性が求められます。またLNGはコスト高ながら、現在のオマーンはStandard & Poor’sによる信用格付けもBB+からBBB-へと格が上がっています。ちなみに日本はA+です。

最後に世界のエネルギー消費の紹介がありました。また日本のLNGの最大の輸入先はオーストラリアでマレーシア、米国と続きロシアからも輸入せざるをえないとか。来月7月からはカナダからの輸入も開始されるそうです。一方オマーンのガス・石油は同国輸出の34.7%を占めており、オマーンLNGの株はオマーン投資庁が51%、オランダのシェルが30%を保有し、日本は三菱・三井・伊藤忠の3社合わせて6.5%で第三位とのことです。

クリーンエネルギーの太陽光発電や洋上風力発電も様々な課題があり、脱炭素や日本のエネルギー安全保障の観点からLNGは重要な役割を果たしています。

最近の緊張した中東情勢やアラスカLNGに関するトランプ発言等とも相まって、今回のご講演内容は大変興味深い内容であり、また大変勉強になりました。

  

 

質疑応答後の懇親会では、出席された三菱商事関係者の方達とオマーンクラブの会員とがマスカット駐在時の思い出話に花を咲かせる場面も見られ、参加者は大使館のご厚意によるデーツとコーヒーで親睦を深めました。