イベント情報
日本オマーン学生交流会2025が開催されました
11月22日、秋晴れの土曜日「日本オマーン学生交流会」が東京中野の成願寺で開催されました。
交流会はまず初めに、ジョーンズ享子会長が2003年に制作されたアニメキャラクターを使った日本とオマーンのこれまでの関係性と今後の展望についてのビデオを視聴しました。その後、参加者は5つのグループに分かれ、司会の玉澤恵里さんが用意してくださったテーマをもとに意見交換を行いました。

テーマは、日本とオマーンの違いや共通点、そして社会情勢を踏まえた両国の「現在」や「これから」を考える内容が多く、短時間で意見をまとめることは難しかったものの、オマーンクラブに参加しているからこそ話し合える貴重な議題ばかりで、大変有意義な時間となりました。各グループでは、コミュニケーションの取り方、伝統的衣装のあり方、遺伝子組み換えに対する考え方など、幅広い話題が取り上げられました。
意見交換の後は、ジョーンズさん手作りの大変おいしいデーツとクルミのケーキや、オマーンの学生持参のハルワ等を味わいながら、自由に交流を深めました。実際にオマーンを訪れた経験のある日本人学生が多く、普段なかなかできないオマーントークで大変盛り上がり、楽しいひとときとなりました。
「寒くなってきたねぇ」という、日本人がよく使う天気の話題に対し、オマーンの学生が「寒さを楽しまなくちゃ!」と返してくれたことが印象的でした。暖かい気候のオマーンだからこそ寒さが貴重であり、大切に味わいたいという思いが伝わり、私自身の“寒さ=つらいもの”という認識が少し変わった気がしました。
その後は場所を移し、茶道体験を行いました。お抹茶とお菓子をいただくだけでなく、茶道に込められた侘び寂びや一期一会、相手への敬意を重んじる心についても説明していただき、ひとつひとつの動作に意味があることを学びました。
イベント終了後は、アフガニスタン料理店での夕食でした。交流会のとき以上に多くの方と密に話すことができ、おいしい料理を囲みながら一気に心の距離が縮まりました。多くの日本人学生は夕食までの参加だったため、レストランで写真を撮影し、外に出てからも名残惜しく再度写真を撮って解散しました。

また別のイベントで皆さんに再会できる日を楽しみにしつつ、語学学習により一層励みたいと思います。
成願寺に宿泊した留学生達は、翌23日早朝7時から初めての座禅を体験し、続いて朝食・荷造り・清掃をしてご住職に感謝を込めてご挨拶後、成願寺を発ちました。

向かった先は赤坂の迎賓館。同行した大森耀太さんのアラビア語による迎賓館(赤坂離宮)のオリエンテーションを聞いてから
一般公開されている本館や庭園を見学しました。国の重要行事や国賓の滞在に使用される内部の豪華な和洋折衷の作りを堪能した留学生の中から、「オマーンでもこういう建物を公開したら良いのに」と言う声も聞こえました。噴水やお花で美しい広い庭園を散歩し、迎賓館の正面で記念写真を撮りました。昼食はそこから徒歩10分ほどにあるハラール・ラーメンのお店です。地下にある小さなラーメン屋なので私達のみで満席。待っている間に壁いっぱいに貼ってある各国の紙幣の中からオマーン紙幣を見つける人、狭いながらお祈りのスペースもありそこに行く人もいました。皆で本物のハラールの熱々ラーメンや唐揚げを楽しみました。
交流会に初めて参加したオマーン人留学生からの写真入り報告もここをクリックして是非お読みください。(日本語訳はこちら)
今年の学生交流会も参加者全員の協力もあり、日本とオマーンの若い世代の交流そして全国各地の大学にいる留学生同士も親しくなり、成功裡に終了することができました。

講演会「オマーンに教わり安全ネットを紡ぐこと」の開催
10月23日、日本オマーンクラブ2025年度第3回講演会がオマーン大使館で開催されました。 講師は、日本の外交官・国際法学者で、前駐オマーン日本国特命全権大使の山本条太さんです。山本さんは2022年1月から3年間オマーンに赴任されました。
演題は「オマーンに教わり安全ネットを紡ぐこと」で、「オマーンにどう学び、私たちと中東との関係をどう再確認していけるのだろう」という趣旨でのお話です。
冒頭ジョーンズ会長の開会のご挨拶に続き、駐日オマーン大使モハメッド・アル・ブサイディ博士より、10月13日 に閉会した大阪関西万博2025 「オマーン国テーマ 地球、水、人間性」が成功裏に終了したこと等、ユーモアを交えて温かいご挨拶を頂きました。
司会の新村事務局長により、山本氏と彼の略歴が紹介され、講演会が始まりました。お話は多岐にわたり、大阪関西万博やオマーンナショナルデー、日本の皇室とオマーンの王室との関係、ロシア、パレスチナとMEDRC(淡水化技術)、イラン、海洋安全保障センター、石油、LNG、グリーンエネルギー(水素)等の他、米国の民主主義と標準化の考え方や紛争当事国を一方的に非難することなくとにかく話し合う姿勢のオマーン外交等など、文化や技術、交流、親善、外交等についても随所に話題が豊富で 、切り口も広く、民間人としてではなく外交官としての発想や捉え方を伺えるお話で、まさに示唆に富んだ学びや気づきの多い有意義な講演会でした。

『日本とオマーンは国家間の外交はもちろんであるが、東アジア地域では希少なロイヤルファミリー国である。 皇室外交が文化的な親善、相互の国民感情を上げることになり、これを機会として 他国に比して日本ができる技術協力や貢献があると思う。
オマーンの万博でのテーマにある「水」に関しても淡水化技術や化石燃料からの脱却を見据えた再生可能エネルギーからの「グリーンな水素」への変換技術等、国際協力プロジェクトの観点から積極的参加して日本がオマーンに対して援助ができることを期待しており、中東地区における日本の存在感を再び高めたい』とのお話でした。
講演後の懇親会ではオマーンコーヒーを楽しみながら、講演内容に関する追加の質問もあり会員それぞれが親睦を深めました。まさに「款談は秋のつるべ落としに~」 あっという間の楽しい時間でした。

大阪関西万博2025 オマーンパビリオン
4月に開幕した大阪関西万博。9月20日にはオマーン王室のビララブ殿下ご臨席の下、オマーン・ナショナルデーが開催されました。当クラブからは遠藤名誉会長、ジョーンズ会長他9名の会員が式典に出席しました。大使館スタッフも総出でした。舞台で演奏した王室騎兵音楽隊は煌びやかな民族衣装に身を包んだ女性が殆どで意表を突く演出でした。


万博は来たる10月13日で閉幕となります。この半年の間、オマーンのパビリオンに何度も通い続けた大阪在住のオマーンクラブ会員による万博でのオマーンの人気とその実情についてのレポートです。
いまこちらで巻き起こっている大阪関西万博への熱狂は、関西以外の地域の皆さまには、あまり情報が届いていないかもしれません。実際は、それはそれは大変な賑わいと熱狂が広がっています。入場チケットはすべて完売、当日券を求めて何時間も行列を作る人々や、徹夜して入場のために並ぶ人が出たほどです。
- 入場口の大行列
- 大リングの下
- パビリオン前で 留学生と会員
- Sultan Qaboos Rose
(上の写真はクリックすると拡大します)
9月半ばの集計では、オマーンのパビリオンには約100万人が訪れたそうです。オマーンパビリオンは「水と大地」をテーマに作られた真っ赤な建築で構成されており、夜になるとその壁一面に美しいプロジェクションマップが映し出されます。バラや乳香をテーマにしたフードの販売ブースや、さまざまなオリジナルグッズの販売もあり、その美しさやフード、グッズの人気によって多くの人々の心をつかみました。閉幕が近づいている最近では、入場規制がかかるほどの大盛況です。9月20日に行われた公式式典の日にはオマーンクラブの方々も多くの人で賑わう様子に、この人気と熱狂を実感されたことと思います。
オマーンパビリオンの敷地内には、クルアーン(イスラム教経典)に登場する植物が多く植えられています。
- イチジク
- ザクロ
- オリーブ
イチジク、ザクロ、オリーブ、そしてオマーンの国花であるバラ。パビリオン内部には小さな水路が流れ、シャボン玉が舞い、まるで小さな公園のような空間となっていました。「癒されるパビリオン」として多くの人に愛され、イチジクは大阪の特産品でもあるため、その木の成長を楽しみにする人も多く、植物を観察することをきっかけに人々の交流が深まる場にもなりました。
- 屋外コンサート
- 同場所夜のプロジェクション
- バラのアイスクリーム
- パビリオン内部のプロジェクションマップ
(クリックすると拡大します)
オマーンという国を万博によってはじめて知った、という人もかなり多くいたようです。(かく言う私もまた、万博をきっかけにオマーンという国が大好きになりました。)万博では、オマーンをはじめとする中東諸国のパビリオンがどこも大変な人気となりました。関西の人々の気質と中東諸国のパワフルなイメージには、どこか共通する部分があるのかもしれません。
この博覧会の開催が、オマーンという国の周知やイメージアップにかなり大きな効果をもたらしたことは、間違いないと感じています。
「優雅で穏やかな、中東の美しい国」。オマーンパビリオンは、来場者たちにそんな思い出とイメージを残してくれました。
サマーパーティ(真夏の夜の暑気払い)
お盆は過ぎてもまだまだ暑さが続く8月21日の夜。
オマーン大使館隣にあるレストラン「ラ・メンサ・ジャスミン」にて、日本オマーンクラブ恒例の「サマーパーティー」が開催されました。
司会の玉澤恵里さんの進行でサマーパーティはスタート。冒頭 ジョーンズ享子会長からご挨拶をいただきました。会員の中には年一回、サマーパーティーにのみ参加される方も多数おられるとのこと。このサマーパーティは旧交を温められる貴重な機会となっているようです。
ゲストの駐日オマーン大使ブサイディ大使のご紹介に続き、オマーン人留学生達も名前と留学先の学校と学部を一人一人紹介されました。男子よりも女子学生が多い印象。オマーン国は女子教育にも熱心な国のようです。

その後元在オマーン日本国大使 神長善次様が乾杯の音頭を取られ、日本とオマーンの共通点やその友好の歴史についてお話しされました。オマーン大使や元在オマーン日本大使の方々が参加されるパーティーというので、オフィシャルで 堅苦しいパーティかと思いきや、どこか手作り感のあるホームパーティーのような雰囲気もあり、和やか に進んでいきました。お会いした方とご挨拶させていただくと、学者の方、石油会社、コンサルティング会社、薬品会社など色々な分野の会社で活躍されている方がおられ、参加者はまさに多士済々。 社会人になってから出会う人というのは、同じ会社・業界など「ビジネス」がメインの繋がりか、同じ大学やスクールなど「学び」によって出会う事が多いですが、こういった「オマーン」という遠いアラブの国との関わりで、カジュアルに様々な業界の人々と出会えると言うのは、非常に興味深い繋がりだと感じました。「オマーン」を知りつつ、オマーンを通して改めて日本という国を知る・・・そんな貴重な場になっているようでした。
(上記写真はクリックすると拡大します)
また、オマーン人留学生で日本語がとても上手な方とお話しましたが、「名探偵コナン」が好きで13歳から日本語を勉強しているそうで、イントネーションから表情まで日本人と同じで違和感を感じず、この日一番のサプライズ。最近のアニメについて話しても、すぐに分かり、しっかりと感想をもっていました。海外の方にアニメ好きが多いと聞いていましたが、オマーンにもいらっしゃった事に驚き、オマーンでも日本のアニメを見て、楽しまれている事に、オマーンとの距離がグッと縮まった気がしました。
お 料理は(人生初体験)の「ハラール」仕様のお料理。「豚肉料理はない」と聞いていたけれど、確かに豚料理はなく、野菜の他は鶏肉や魚料理などが多くありました。オマーンは、アラビア半島の南端にあり、海に面しているため、オマーンの方々も魚料理には馴染があるのかと思いました。
お楽しみアトラクションは、オマーンクラブ会員の北山明様と娘の朝美さん、孫の礼生さんによるファミリー三世代ミニ・コンサート。

最初はフルート奏者の娘さんとお孫さんのピアノによる合奏。お孫さんは中学2年生との事ですが、大人顔負けの音色でお母様のフルートをよく引き立たせていました。その後、北山明様による、こだわりのフォークソングコンサート。北山様の声は、高音もよく伸びてしっかりコントロールできていて、プロ顔負けでした。またお嬢様のフルートがしっかりと演奏を支えておられ、流石の一言。

最後は北山様親子の演奏で、全員で「浜辺の歌」「見上げてごらん夜の空の星を」を合唱。歌声の中にとても綺麗なソプラノが聞こえてきて、自分で歌いつつも歌声に聞き惚れてしまいました。
(上記写真はクリックすると拡大します)
パーティーは盛り上がりの中、元在オマーン日本国大使の久枝譲治様より閉会のご挨拶。北山ご一家を労われ、素晴らしい会を催してくださった日本オマーンクラブに感謝を述べられ、来年のサマーパーティへの期待をお話しになり締められました。

液化天然ガス (LNG) についての講演会が開催されました
6月25日、日本オマーンクラブの講演会がオマーン大使館で開かれました。演題は「日本のエネルギー調達とオマーンの関与」。講師は長く世界各地で液化天然ガス(LNG)の開発と投資にたずさわってこられた会員の桑原徹郎さんです。梅雨模様の天候にもかかわらず約50名の方が出席されました。ジョーンズ会長のご挨拶後、司会の柴田理事により桑原氏と彼の略歴が紹介され講演会が始まりました。
冒頭にLNGとは何かという説明がありました。LNGは化石燃料でありながら不純物処理後は大気汚染等の問題が少なく、またその主成分であるメタンは毒性もなく爆発する危険性もガソリン等と比較して少なく、零下162度で液化して体積をへらすことで運搬や保管が容易で効率的にタンカーで運搬できるという利点のある、大きな役割を持つエネルギー源です。輸入したLNGは気化して火力発電用の燃料として、また私達が日常使用している都市ガス原料として送り出されています。
LNGは1970年代にアラスカで開発が始まり、現在では世界各地で開発が進められていま
す。オマーンもLNGの中堅産ガス国で、特に現在の世界情勢を鑑みると、ホルムズ海峡の外側に位置しているオマーンは地政学的にも安定しており、指導者の全方位外交を持ってオマーンには優位性があると思われます。LNGの供給には20年という長期契約が通常なので、契約には政治的経済的安定性が求められます。またLNGはコスト高ながら、現在のオマーンはStandard & Poor’sによる信用格付けもBB+からBBB-へと格が上がっています。ちなみに日本はA+です。
最後に世界のエネルギー消費の紹介がありました。また日本のLNGの最大の輸入先はオーストラリアでマレーシア、米国と続きロシアからも輸入せざるをえないとか。来月7月からはカナダからの輸入も開始されるそうです。一方オマーンのガス・石油は同国輸出の34.7%を占めており、オマーンLNGの株はオマーン投資庁が51%、オランダのシェルが30%を保有し、日本は三菱・三井・伊藤忠の3社合わせて6.5%で第三位とのことです。
クリーンエネルギーの太陽光発電や洋上風力発電も様々な課題があり、脱炭素や日本のエネルギー安全保障の観点からLNGは重要な役割を果たしています。
最近の緊張した中東情勢やアラスカLNGに関するトランプ発言等とも相まって、今回のご講演内容は大変興味深い内容であり、また大変勉強になりました。

質疑応答後の懇親会では、出席された三菱商事関係者の方達とオマーンクラブの会員とがマスカット駐在時の思い出話に花を咲かせる場面も見られ、参加者は大使館のご厚意によるデーツとコーヒーで親睦を深めました。



































