魅力いっぱいの国オマーン

2013-09-02
本年4月に日本オマーンクラブのメンバーになりました森田雅男です。宜しくお願い致します。

私は、総合商社・双日㈱のマスカット事務所長として1996年4月~2001年3月の5年間と、2008年9月~2013年3月末の4年半の2回の駐在で通算9年半をオマーンで過ごし、いろいろと得難い経験をすることができました。
3月末に会社を退職しましたが、これからはこの経験を活かし、長らくお世話になったオマーンへのお返しや両国の友好促進のお手伝いが何かできないものかと思い、当クラブに加入させていただいた次第です。

駐在当時のオマーンは全国各地でインフラ整備にかなり力を入れており、各種プラントが数多く建設され、在任中やその前後にいくつか仕事の機会を与えていただきましたが、これらの重要な国家プロジェクトに関与できたことが、良い想い出となっています。
例えば、1999年にソハールの砂浜に港湾と工業団地を建設するプロジェクトが始まり、ここで港湾の浚渫工事と岸壁建設工事、更に工業団地内に石油リファイナリーと肥料プラントを受注し建設をおこないましたが、これらは今やオマーンの一大輸出産業に成長しています。またそれ以前にマスカットのグブラ地区に建設した海水淡水化プラントは今でもマスカット全域の飲料水供給基地となっています。2010年にはソハールとバルカでの発電事業を受注し合弁会社を設立。これら二つの発電所は本年4月に建設が完了し発電を開始しました。現在オマーン全体の発電容量の25%を占めており、今後15年間この事業を続けていくことになります。何やら手前味噌になってしましましたが、これらのプロジェクトを通しオマーンの近代化にわずかながらでも貢献できたのではないかと思っています。

現在オマーンは歳入の約8割を石油・ガス収入に依存していますが、経済発展を支えるこれらの天然資源の可採年数はあと20~30年程度と言われています。政府は既存の石油・ガス田からの増産対策や新規鉱区の開発に注力しつつも、従来の石油・ガス依存体質からの脱却や経済多角化を重要課題とした長期計画を打ち出し、第8次5カ年計画(2011~2015年)では発電・造水能力の増強、空港整備、港湾整備、高速道路整備、鉄道建設などの各種インフラ整備を積極的に推進しており、国家計画の堅実さが伺われます。

一方、身近なところでも、駐在1回目の帰国時2001年から2回目の再赴任時2008年までのわずか7年の間に、いくつもの目を見張る変化があったことを記憶しています。例えば、2001年当時はほとんど見られなかった幹線道路の渋滞が2008年には慢性化しており、迂回路や新たな高速道路の建設が進み、またroundabout(ロータリー)に信号が設けられたり、高架になっていたりで、交通渋滞緩和策がいろいろととられていました。車の数は7年間で10倍近く増えたという印象で、これはオマーン人の雇用機会が増して収入が安定してきたことも大きな要因になっていると思われます(それまでインド人が多数を占めていたタクシーの運転手や魚市場での売り子がこの7年間で皆オマーン人に代わっていたりして、業種によってはオマーン人化政策がかなりのスピードで浸透していったようです)。またマスカットに人口が集中してきたため住宅需要が急速に高まって住宅建設ラッシュとなり、今でも郊外に伸び続けています。これに合わせ、周辺には大型ショッピングセンターがいくつも建設されて、商品の種類・品数が豊富になり、更に欧米の有名ブランドショップなども進出してきて、生活は日ごとに便利になってきています。

オマーンはかように着実に豊かになっている魅力いっぱいの国で、これからもますます発展していくよう応援をし続けていきたいと思っております。

堅苦しい話になってしまいましたので、最後にくだけた話題で、日本ではまず見られないオマーン独特の面白道路標識をいくつか皆様にご紹介して、私のご挨拶はこの辺でおしまいにします。

ラクダに注意(砂漠地帯で多く見られる)

ラクダに注意(砂漠地帯で多く見られる)

牛に注意(サラーラの山間部や砂漠でたまに見られる)

牛に注意(サラーラの山間部や砂漠でたまに見られる)

歩行者に注意(全国共通ヨタヨタ歩きの標識。何か手が長すぎるような…)

歩行者に注意(全国共通ヨタヨタ歩きの標識。何か手が長すぎるような…)

幼稚園児に注意(マスカットで出会ったおどろおどろしい標識)

幼稚園児に注意(マスカットで出会ったおどろおどろしい標識)

おじさんにも注意 (サラーラで見かけたユーモアたっぷりの標識)

おじさんにも注意
(サラーラで見かけたユーモアたっぷりの標識)

森田 雅男